国内店舗数514店(2016年8月末時点)、総従業員数4560名(販売スタッフ含む。
うち正社員950名。2016年8月末時点)で展開する(株)ライトオンは、販売スタッフ募集の仕組みや、研修・評価制度が確立され、人材確保に効果が出ているという。
店頭や会社HPからの応募が7割超といったロイヤリティの高さに加え、スタッフの紹介による応募も多い。この背景には現場主義を掲げ、店舗運営を第一に考える同社の企業風土が根っこにある。同社にて人材開発を担当する人事総務部人材開発チームの石井理子氏に話を伺った。
―スタッフ採用は店頭がメイン
募集チャネル別では、全体の46%が店頭での応募、次いで当社のHPが約20%、ガールズウーマン(アパレル求人サイト)が10%となっています。そのほか定期的にショッピングセンター(以下、SC)のHPへの掲載や、SCのトイレ前などにある掲示板、ハローワークなどです。
店頭と当社HPで7割を超えることから、店頭採用に注力しています。(店頭掲示の)求人ポスターは、店舗ごとに求める人材が異なるのでカスタマイズできるよう、パターン別のシートやシールを用意しています。また「ハンドビラ」という求人チラシを店頭配布したり、ショッパーに入れるなど、目に触れる機会を増やしています。
給与面では、オープニングスタッフ募集時はオープニング時給として通常よりも高い設定や、採用面接時にライトオンのお買い物券を渡すなど、いくつかの施策を地域に合わせて組み合わせます。既存店は年末年始など繁忙期に、設定時間以上勤務したスタッフへボーナスを支給。さらに社内では紹介制度を設けて、採用の場合、紹介者に謝礼を支給しています。
店頭以外の募集は、本部による一括募集ですが、採用面接は店長が行います。これは各店舗の事情に応じた人材採用、また店長自身が店舗運営の責任者として、適切な人材確保に努めることを可能にしています。
―CSチェックで納得感
採用後のアルバイト研修は、電話応対や面接、接客などで、入社1日目、2日目、1カ月と、勤務日数に合わせて研修項目がマニュアル化されています。入社1カ月で販売の基本、3カ月で販売の応用や作業などを習得し研修が終了します。研修期間は店長以外にベテランスタッフや契約社員が教育係となって業務を指導したり、新人スタッフの相談に乗るなど、メンターを担います。教える側も成長できるなどの相乗効果もあります。
昇格については、ジュニア、ミドル、シニア、トレーナー、チーフの階級があり、各級にて習得すべき項目を設けています。ただしあまり細かい内容は設定せず、基本はどれだけ会社に貢献しているかです。
日々の評価は、出勤簿に「CSチェック」欄を設けて、退社時に毎回行っています。「挨拶」「明るい笑顔」「迅速な応対」「店舗独自の目標設定」の項目について、まずは自ら○・△・×をつけて評価。次に店長がスタッフ本人と一緒に各項目を評価します。相互チェックで、その日完結で行うので、互いに納得感があります。
―互いを尊重する仕組み、スマイルカード
「スマイルカード」とは社員やスタッフが、相手のよいところを見つけてカードに記入し本人に手渡してほめる仕組みです。コメントも書けるので、結果だけでなくその過程も評価することができる便利なツールです。各店、本部には、社員やスタッフの笑顔のポートレートが壁に貼られていますが、各写真にはスマイルカードがためられるポケットがついています。
そしてその枚数に応じてブロンズ・シルバー・ゴールドマイスターとしての資格が与えられます。カードを渡したり、もらう際に交流や新たな気づきが生まれており、社内の潤滑油になっています。
―ディベロッパーへの要望
SC全体で媒体を利用した求人を企画してほしいです。『○○SCで働こう特集』など。さらにそのようなキャンペーンで採用された場合は、入店時の研修とは別に、「メイクアップ」や「きれいな歩き方」など、興味をひくような研修を企画すればより応募が増えるのではないでしょうか。郊外SCであればポスティングも効果的ですね。一企業ではボリューム・コストに限りがあるのでディベロッパーの積極的な求人支援をぜひお願いしたいです。
*内容は全て掲載当時のものです。
SC JAPAN TODAY 2016年11月号掲載
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