日本サブウェイ(株)では、来日したての留学生を、採用から教育までのフローをパッケージ化し、フランチャイズ加盟店に提供する取り組みを進めている。同社にて教育などを担当する営業統括本部オペレーション部オペレーショングループリーダーの河合大介氏に話を伺った。
―外国人留学生採用
構想しはじめたのは2015年5月からで、人材確保に向けたいくつかの取り組みの1つとして検討していました。通常、採用活動は各加盟店で行うため、すでに外国人を雇用している店舗もありましたが、長期的な視点から、採用から教育まで、店舗・オーナー・エリア単位で行えるよう本部にてパッケージ化に向けて取り組んでいます。
サブウェイの特徴的なオペレーションは、お客様とコミュニケーションをとりながらサンドイッチをつくることなので、日本語習得に意欲的な留学生に的を絞りました。来日直後の会話のままならない留学生であっても、日本語学校と日本の大学に通うとなれば向こう3~4年は働いてもらえるため、長期的な利点は多く、先行投資として行っています。
採用活動は、まず協力企業にサブウェイ採用センターを設け、日本語学校の入学時期である4月・9月に学校主催のアルバイト面接会などにブースを出展。興味を持たれた学生には本部にて開催する説明会に参加いただきます。仕事内容などの説明に加え、実際に研修キッチンにてお客様の立場で接客を受けてもらい、希望者にはその場で一次面接を実施。採用決定はオーナーおよび店長が行います。採用が決まった段階で、本部にて5日間の初期トレーニングプログラムを行い、修了後店舗での勤務開始となります。
―5日間の初期トレーニング
日本語のニュアンスを教えることに苦労しました。「いいです」というひと言でも、断る意味なのか、OKの意味なのか、彼らにはそのニュアンスがわからない。
そこで、日本語検定の接客シーンの過去問題集を参考に、ロールプレイング形式でトレーニングを行いました。また個々の語学力はもちろん、国が違えば文化や働くことへのモチベーション、アピアランスへの意識が異なります。
目線を合わせるため、「皆さんのミッションは、お客様に喜んでもらうこと」と研修時に徹底して伝え、「いまの行動は本当にお客様のためか」と都度問いかけることで温度差をなくすなど、働く姿勢を学んでもらうことに重点を置きました。
勤務開始初日には、本部オペレーショングループのメンバーが同行し、ストアツアー(タイムカード、着替えの場所説明など)を店長と行い、バックアップします。
外国人が言葉や文化の違いに苦しみながら働くのは心細いものですので、周りのスタッフとコミュニケーションがとりやすいようにサポートを行います。受け入れる店舗側の姿勢も重要ですので、場合によっては店長が初期トレーニングに参加することもあります。
―今後について
2016年内には採用から教育までのパッケージ化を完了させる予定です。現在オーナー向けの説明会を東京で行っています。雇用上必要な申請書などの書類の一覧化はすでにできており、採用募集の媒体や、動画ツールなどの準備をしているところです。
外国人が快適に働ける環境が整い、彼らが定着できれば、サブウェイという場が彼らの居場所になります。東京オリンピック・パラリンピックに向け訪日客はさらに増える見込みですので、彼らは貴重な戦力です。多言語対応としてではなく、コミュニケーション力に長けた人材として育てたいですね。
―ディベロッパーへの要望
「SCは〝まち〟である」とビジョンを掲げるディベロッパー(以下、DV)も多いなか、SCがまちとして繁盛するためには、お客様はもちろん、おもてなしするスタッフの確保も重要です。したがって、DVには町役場的な立ち位置であってほしいと思います。
たとえば新規開業時のみでなく定期的な集合面接会の実施や、特設WEBサイトの立ち上げなど、テナント任せではなくDV主体による採用活動に期待します。
人材の確保については、非常識が常識になる時代がすぐそばまで来ていると思います。常識にとらわれず、連携して人材確保に取り組めば、その後の教育にもつながり、接客によるファン化、そしてSCのリピート客につながるのではないでしょうか。
*内容は全て掲載当時のものです。
SC JAPAN TODAY 2016年10月号掲載
PDFで見る