既存SC前年同月比売上高伸長率 :+2.3% (参考・2019年同月比 :▲7.3%)
引き続き旅行需要が高まるも、気温が高く重衣料が伸び悩む
全体概況
- 11月度の既存SC売上高の前年同月比伸長率は、総合で+2.3%となった。
- 行政による行動制限がなかったことや、前月に引き続き全国旅行支援で観光需要が高まったことで、来館者数が増え、前年超えとなった。都心部を中心に回復してきたインバウンドも、売上増に寄与した。ただし、気温が高かったことでアウターなどの重衣料の動きが鈍く売上に影響したSCや、月後半の新型コロナウイルス第8波の影響により来館者数が減少したSCも見られた。2019年と比較すると▲7.3%となり、コロナ禍前を下回っているが、マイナス幅は縮小してきている。
- 立地別に見ると、中心地域は総合で+5.9%、周辺地域は+0.7%となり、周辺地域が伸び悩んだ。自粛意識の高まりから近隣のSCを利用していた客層が、時間と共に都市部など遠方へ足を伸ばしていることが伺える。
- 業種別に見ると、観光需要の高まりによって旅行客の来館者数が増え、飲食が好調だった。また、外出機会の増加により、靴や鞄などのファッション雑貨が好調だった。一方、アウターなどの重衣料や防寒アイテムは、北海道を除いて全国的に気温が高かったため苦戦し、売上が伸び悩んだ。
[立地別]
- 中心地域・大都市は総合で前年同月比伸長率+7.7%となった。中でも札幌市、京都市、福岡市は全国旅行支援により県外からの旅行客の来館が増え、二桁伸長率となった。
- 中心地域・中都市は総合で前年同月比伸長率+2.8%、周辺地域は総合で+0.7%となった。全国旅行支援により旅行客の来館者数が増えたSCがあった一方、地元客の県外への外出が増えたことや新型コロナウイルス第8波の影響による来館者数の減少、物価高による買い控えが見られたSCもあった。
[地域別]
- 北海道は、総合で前年同月比伸長率+8.7%となった。旅行客の来館者数が増えたことや、気温が低下したことにより高単価のアウターなどが高稼働し、他地域と比較して伸長率が最も高かった。
- 関東は、総合で前年同月比伸長率+2.5%となった。大都市を中心に全国旅行支援の本格化に伴う旅行客増やインバウンド売上の増加が好影響となったとの声が聞かれた。
- 近畿は、総合で前年同月比伸長率+1.8%となった。中心地域は+8.7%となり、旅行客の来館者数増などの影響で大阪市や京都市を中心に2桁伸長率となったSCが多かったが、周辺地域は▲0.9%と前年を下回った。郊外型SCから駅周辺SCに客足が流れた。
[業種別]
- 外出機会の増加により、靴や鞄、スーツケースなどのファッション雑貨が好調だった。一方、北海道以外の地域で気温が高く推移したことから、アウターなどの重衣料や防寒アイテムなどが苦戦し、売上が伸び悩んだ。
- 引き続き全国旅行支援が継続したことで旅行客の来館者数が増え、飲食や土産品が好調だった。飲食は関東を中心にディナータイムのアルコール需要が増加しているとの声が聞かれた。
- 11月11日に公開された映画『すずめの戸締り』がヒットしたシネマや、国内旅行の需要が増えたことによる旅行代理店などのサービスも好調だった。