既存SC前年同月比売上高伸長率 :+9.2% (参考・2019年同月比 :+5.8%)
感染状況の落ち着きと全国旅行支援により観光需要が高まり、売上伸長
全体概況
- 10月度の既存SC売上高の前年同月比伸長率は、総合で+9.2%となった。
- 新型コロナウイルス感染状況が落ち着いていたことや行政による行動制限がなかったこと、10月11日から始まった全国旅行支援により観光需要が高まったこと、さらに前年より休日が1日多かったことで前年を上回った。ハロウィンや周年祭などのイベント実施により来館が増えたSCも多かった。
- 2019年と比較すると+5.8%となり、コロナ禍以降で初めて2019年比プラスとなった。2019年10月は消費税増税による駆け込み需要の反動減に加え、東日本では過去最強クラスの台風19号による休館や営業時間短縮があったことにより、売上が大幅に減少した。
- テナントは、前年同月比伸長率+10.7%となった。業種別に見ると、全国旅行支援や入国規制緩和により国内外の旅行客の来館が増え、飲食や土産品が好調だった。ファッションは気温低下や外出需要の高まりにより、アウターなどの秋冬商材が高稼働した。
- キーテナントは、前年同月比伸長率+3.1%となった。百貨店や大型専門店の売上が牽引したものの、生鮮食品などを取り扱うGMSやSMでは、物価高の影響により買い控えが発生しているという声も聞かれた。
[立地別]
- 中心地域・大都市は総合で前年同月比伸長率+18.0%となった。10月11日から始まった全国旅行支援や入国規制の緩和により、国内外問わず旅行客の来館が増え、テナント、キーテナントともに他の立地と比較して伸長率が高かった。
- 中心地域・中都市は総合で前年同月比伸長率+9.1%、周辺地域は総合で+7.0%となった。中心地域・大都市と同様に、新型コロナウイルス感染状況が落ち着いていたことや全国旅行支援をきっかけに外出需要が高まり、秋冬衣料や行楽関連用品が高稼働した。一方で、中心地域・中都市や周辺地域はキーテナントにGMSやSMが多いため、巣ごもり需要の減少により、食料品や日用雑貨は伸び悩んだ。
[地域別]
- 北海道は、総合で前年同月比伸長率+16.0%となった。前年は時短営業要請が影響して売上が落ち込んだが、当年は行動制限がなかったことや旅行客の来館が増えたことで、他地域と比較して伸長率が最も高かった。
- 関東は、総合で前年同月比伸長率+9.6%となった。前年は時短営業要請やアルコール提供の制限があったが、当年は行動制限がなかっため、特に飲食が好調だった。感染状況の落ち着きとともに、夜の飲食利用が増えてきているとの声も聞かれた。
- 近畿は、総合で前年同月比伸長率+7.3%となった。中心地域は+14.2%となり、旅行客の来館などの影響で大阪市を中心に2桁伸長率となったSCが多かった。
[業種別]
- ファッションは、気温低下によりアウターやニットなど高単価の秋冬商材が高稼働した。結婚式などのオケージョン需要が回復してきているとの声も聞かれた。
- 全国旅行支援や入国規制緩和による国内外の旅行客の増加に伴い、飲食と土産品が好調だった。飲食については、前年同月に各地で時短営業要請やアルコール提供の制限があったため、その反動増も含まれる。