プレスリリース

2021/09/24 更新 SC販売統計調査報告 2021年8月

既存SC前年同月比売上高伸長率 :▲11.6% (参考・前々年同月比 : ▲28.3%)
33都道府県で緊急事態宣言等が発出され、再び前年を下回る

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全体概況

  • 8月の既存SC売上高の前年同月比伸長率は▲11.6%となった。7月はプラスに転じた(前年同月比伸長率+1.1%)ものの、今月は再び二桁マイナスになる厳しい結果となった。なお、2019年比でも▲28.3%(7月▲16.3%)となり、前月よりマイナス幅が拡大した。
  • 新型コロナウイルス「デルタ株」による感染急拡大は、7月31日に全国の新規陽性者数の過去最高を記録し、8月に入ってからも拡大に歯止めがかからず、お盆を控えた8月8日には19都道府県で緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が発出される状況となった(27日からは33都道府県に拡大)。これにより、「観光客や帰省客等が大幅に減少したこと」、「営業時間短縮に加え感染防止策として入館制限が求められたこと」もSCの営業に大きな影響を与えた。また、オリンピック・パラリンピックが無観客開催となったことや九州北部地方、中国地方を中心に広範囲で記録的な大雨となったことも来館者減少の要因となった。
  • テナント(前年同月比▲12.8%)とキーテナント(同▲7.3%)の差異は5.5ポイントで、前月の0.5ポイントから拡大した。その要因として、テナントは緊急事態宣言等の対象拡大により、時短営業及び酒類提供禁止の要請を受けた「飲食」が更に苦戦したこと、外出自粛による購買モチベーションの低下が顕著になった「ファッション」の不振が目立ったことが挙げられる。

[立地別]

  • 「中心地域・総合」が前年同月比▲12.7%、「周辺地域・総合」が同▲11.3%となった。
  • 中心地域は、特に「大都市」の苦戦が続いており、前年同月比▲14.0%となった。コロナ影響を受ける前の2019年との比較では▲43.4%と大幅に落ち込んでおり、「大都市」が立地する全都道府県で緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が発出されている影響が見られる。
  • 周辺地域では、例年であれば夏休みのレジャーとしての来館動機がみられる広域商圏型の大型SCにおいて、外出自粛による売上減が顕著となり、前年から▲11.3%と厳しさを増した。

[地域別]

  • 全国の中でも特に厳しい状況が続く北海道は総合で▲21.9%と全9地域中最も大きく落ち込んでおり、2019年同月比でも▲41.5%となった。これは、例年最も多くの観光客が訪れる8月に全国的な感染拡大が重なり大幅減となったことに加え、札幌市中心地域のSCではオリンピック開催に伴う交通規制の影響もみられたことが要因と考えられる。
  • 関東は、7都府県全てで緊急事態宣言等が発出され、総合で▲13.1%となった。特に東京都区部は厳しい状況が続いており、2019年比では▲36.1%となった(前年は2019年比で▲27.2%)。また、前年は10%台のマイナスに留まった千葉市、横浜市、川崎市も本年は更に2~3ポイント悪化しており、2019年比でみても千葉市(▲34.7%)、横浜市(▲28.4%)、川崎市(▲27.6%)と苦戦が続いている。
  • 中部は、総合では前年を下回ったが、中心地域は+2.0%となった。特に、愛知県では前年8月に県独自の緊急事態宣言が発出されていたが、本年は緊急事態宣言が27日からの適用となったことの反動増とみられる(まん延防止等重点措置は8日から適用)。なお、名古屋市は+2.6%と大都市の中で唯一前年を上回った。
  • 近畿の中心地域は前年同月比▲17.2%と北海道に次ぐ落ち込みとなった。特に、大阪市(▲17.7%)は、2日に緊急事態宣言が発出されると自主的に休業するテナントが散見されたことや、主要百貨店でのクラスター発生の報道が為されたこと等もあり、消費マインドの低下がみられた。

[業種別]

  • 全業種での苦戦が続く営業環境にあるが、夏休みの身近なレジャーとして感染防止策の徹底が浸透し始めている「シネマ」、オリンピックの無観客開催による自宅観戦需要に対応した「家電」や「生鮮食品・惣菜・テイクアウト飲食」が比較的堅調な動向となった。
  • 一方で、外出自粛傾向が更に強くなったことで、「ファッション」では新商品・セール品ともに消費者の購買意欲が更に低迷しているとみられ、中旬以降の気温低下により一部で秋物に動きがみられたものの、全体として不調だった。

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