既存SC前年同月比売上高伸長率 :+6.0% (参考・前々年同月比 : ▲8.7%)
前月に続き、新型コロナウイルスの感染者減少に伴い、売上が回復基調に
全体概況
- 12月度の既存SC売上高の前年同月比伸長率は総合で+6.0%と、2カ月連続で前年実績を上回った。
- 新型コロナウイルス感染者数の減少傾向が、クリスマスや年末といった年間の大きなモチベーション期に重なったことに加え、各SCとも積極的に販促施策を行なったことが奏功し、全ての地域で前年実績を上回った。
- 苦戦が続いていたテナントは、前年同月比伸長率+7.3%となった。特にコロナ影響を大きく受けた飲食が、制限緩和により外食需要に回復がみられ、同じく苦戦傾向にあったファッションも外出機会の回復と気温低下もあり冬物商材の動きが活発化した。
- キーテナントは、前年同月比伸長率+1.2%。美術品や宝飾・貴金属、ラグジュアリーファッションといった高額商品が好調な百貨店が主である中心地域・大都市が実績を伸ばした一方で、コロナ下の巣ごもり需要で食品の買い溜め傾向が落ち着いたGMSや食品SMが主である周辺地域は、わずかに前年実績を下回る結果となった。
[立地別]
- 中心地域・大都市は総合で前年同月比伸長率+14.9%となった。コロナ下では広域移動が制限されることもあり、前年は苦戦を強いられたが、新型コロナウイルス感染者減少に伴い商業集積エリアへの外出が回復したこともあり、この立地の殆どのSCで前年を上回った。
- 中心地域・中都市は総合で前年同月比伸長率+6.3%となった。東北地域や中国地域などの各都市では、「年末年始の帰省客が2年ぶりに戻ってきた」と回答するSCが散見され、家族での利用が見られた飲食や帰省の手土産品を中心に売上が回復した。
- 周辺地域は総合で前年同月比伸長率+3.5%。10月の緊急事態宣言解除以降、身近なお出かけ先としてレジャー需要対応の広域商圏型SCへの集客が続いている一方、GMSやSMでの日用品の買い溜め特需が落ち着いたこともあり、中心地域(+12.0%)と比べ伸長率が低い結果となった。
[地域別]
- 緊急事態宣言の反動増となった2021年4月から9カ月ぶりに全ての地域で前年を上回ったが、2019年比でみると全ての地域でマイナス実績となっており、コロナ下前の水準までには回復していない。
- 特に北海道は、総合で前年同月比伸長率+18.4%と前年を大幅に上回ったものの、前年に大きく落ち込んだ(▲31.9%)反動によるものであり、2019年比では▲19.0%と依然として2桁台のマイナスと、全9地域で最も厳しい状況が続いている。
- 関東は、総合で前年同月比伸長率+5.4%となった。特に、東京区部は+8.4%と関東エリアの売上を牽引。繁華街立地や駅前立地といった周辺県からの集客に強みのあるSCで、ディナータイムの飲食店利用の回復や、各種催事やポイントアップキャンペーンといったモチベーション期の販促施策に効果がみられたことが要因と言える。
- 近畿は、総合で前年同月比伸長率+6.4%となった。特に、大阪市が総合で+16.5%と大きく売上を牽引している。これは東京区部と同様に繁華街や駅前立地の飲食やファッションに回復が見られたことも要因だが、昨年12月はコロナ第3波による営業時間短縮要請とそれに伴う消費者の購買モチベーションの低下が、特に大阪市の中心部で強かったことの反動増も要因である。
[業種別]
- 「ファッション」は、クリスマスや年末年始といったハレの日需要によるラグジュアリー商材や、月下旬の全国的な気温低下による実需としてのコート、ニット、ブーツといったオンタイムで着られる冬物商品が好調であった。
- 「飲食」は、営業時間や人数制限などの規制緩和により、前年と比べ忘年会利用に回復傾向がみられたこと、また、年末年始の帰省客等の回復に伴い、昼夜問わずファミリー客が訪れたこともあり、前年を大きく上回るテナントが多くみられた。また、コロナ下で定着しつつある、テイクアウトも引き続き好調であった。
- 「食物販」は、観光や帰省の動きが回復したこともあり、地元の銘菓や乾物といった土産物となる商材が好調。また、前年に巣ごもり需要で売り切れとなるほど好調だったおせち料理は、前年満足した人や購入できなかった人が早めに予約購入するなどの動きもみられ、前年を上回る伸びとなった。12月の大きなモチベーションであるクリスマスは、前年と比べ曜日配列に恵まれた(24日金曜日、25日土曜日)こともあり、クリスマスケーキの販売も好調だった。