既存SC前年比 : +5.8%
SC年間売上高(推計) :32兆1,254億円
(前年比+4.2%・消費税抜・全SCベース)
館内・近隣イベント効果や国内外旅行客の来館増で好調に推移
全体概況
- 2024年(暦年)の既存SC売上高(総合)は、2023年比で+5.8%の伸長率となった。新型コロナウイルスが発生した2020年には既存SC売上高前年比が▲22.3%と落ち込んだが、2021年以降は毎年前年比プラスで推移している。
- キーテナントを除くテナントは前年比伸長率+6.4%となった。2024年は館内・近隣イベントの開催、大都市を中心に円安の影響でインバウンド客の来館が増えたことにより、前年超えとなった。ファッション業種は、プロパー商品やジャストニーズの商品を展開できた店舗が好調だった。また、猛暑が続き夏物商材が長期間稼働した。飲食業種は、国内外旅行客や近隣イベント参加客、グループ客などの来館により、一年を通じて好調だった。
- キーテナントは前年比伸長率+3.7%となった。円安の影響でインバウンド客による高単価商材の稼働もあり、とくに百貨店が好調だった。食料品を扱うスーパーは、商品の価格高騰が売上増につながった。
- 月別の動向をみると、通年で前年比プラスで推移した。1月(+5.1%)は、新年会などのグループ利用で飲食業種が売上げを牽引した。2月(+9.8%)は、うるう年や春節、3連休が2回あったことで国内外旅行客の来館が増えた。3月(+7.4%)は、前年に比べて休日日数が2日多かったことや館の販促施策が来館者増につながった。4月(+4.8%)、5月(+3.9%)は、気温上昇により春物商材だけでなく夏物商材も稼働した。6月(+10.7%)は、梅雨入りが例年より遅れたことやその間の気温上昇により夏物商材が稼働し、2桁伸長となった。7月(+2.7%)、8月(+7.1%)は、全国的に猛暑が続き盛夏商材が稼働した。9月(+7.3%)は、休日日数の増加や館内・近隣イベントの開催で来館が増えた。10月(+1.1%)は、暑さが続き秋冬衣料が伸び悩んだが、雑貨や飲食が売上げを支えた。11月(+7.1%)は、中旬からの気温低下に加えセールが後押ししたことで冬物商材が稼働した。12月(+5.3%)は、館の販促施策やプレセール、気温低下により冬物商材が稼働した。
[立地別]
- 中心地域・大都市は総合で前年同月比伸長率+9.8%となり、他の立地と比較してもっとも伸長率が高かった。1月から6月までは2桁台の伸長率となった。大都市のなかでもとくに駅ビルや地下街、繁華街のSCなど、インバウンド客の来館が多かったSCが好調に推移した。
- 中心地域・中都市は総合で前年同月比伸長率+3.8%となった。国内外旅行客や出張客などの来館が多い駅ビルなどのSCが好調だった。館内・近隣でのイベント開催、猛暑などの天候要因により来館者数が左右された。
- 周辺地域は総合で前年同月比伸長率+4.8%となった。レジャー需要にも対応する広域商圏の大型SCや観光地周辺のSCがとくに好調だった。
[地域別]
- 関東は総合で前年同月比伸長率+5.6%、中部は同+7.2%となった。中心地域の大都市を中心にインバウンド客の来館が多く見られた。周辺地域ではレジャー需要にも対応する広域商圏の大型SCが好調だった。大型専門店のセールや館のポイント施策などが売上げにつながった。
- 近畿は総合で前年同月比伸長率+7.2%となった。通年での中心地域の伸長率は他地域と比較してもっとも高く、5月、9月、11月を除いて2桁伸長となった。とくにインバウンド客の来館が顕著だった駅ビルや繁華街のSCが好調に推移した。
- 九州・沖縄は総合で前年同月比伸長率+7.5%となり、他地域と比較してもっとも伸長率が高かった。中心地域ではインバウンド客の来館が増えたことで、飲食を中心にSCの売上げを押し上げた。周辺地域では国内旅行客の来館が多かった観光地周辺のSCや館内イベントの効果があったSCが好調だった。