既存SC前年同月比売上高伸長率 :+4.9% (参考・2019年同月比 :▲5.0%)
3年振りの行動制限のないクリスマス、年末年始で前年実績を上回る
全体概況
- 12月度の既存SC売上高の前年同月比伸長率は、総合で+4.9%となった。
- 3年振りに行政による行動制限がないクリスマス、年末となり外出需要が高まったことや、前月に引き続き全国旅行支援で県外からの観光客が増えたことで来館者数が増え、前年超えとなった。大都市や観光立地を中心にインバウンドも増加しており、来館者数・売上増加に寄与した。2019年と比較すると▲5.0%となりコロナ禍前を下回っているが、前月に引き続きマイナス幅は縮小し、回復基調が続いている。
- 立地別に見ると、中心地域は総合で+8.4%、周辺地域は+3.4%となり、中心地域がより伸長した。引き続き外出需要が高く、季節イベントなどもあり、特に中心地域の大都市が好調であった。
- 業種別に見ると、クリスマスや忘年会などのイベント需要、帰省や旅行などによる来館者数の増加で、飲食が好調だった。また、前月に比べて気温が低下したことにより、アウターなどの重衣料が高稼働した。
- 年末年始の動向としては、3年振りに行動制限がなかったことで、レジ客数・売上高ともに前年より増加したSCが多かった。また、レジ客は伸び悩んでいるが売上高は増加しているというSCもみられ、客単価が増加傾向にあると考えられる。福袋については、オンライン販売や事前予約などが多くなっており、年始の客足が減少傾向にあるとの声が聞かれた。
[立地別]
- 中心地域・大都市は総合で前年同月比伸長率+10.4%となった。中でも札幌市、名古屋市、大阪市、福岡市は県外や海外からの旅行客、コンサート等のイベント実施により来館者数が増え、二桁伸長率となった。
- 中心地域・中都市は総合で前年同月比伸長率+5.3%となった。テナントは+6.4%となり、飲食を中心に前年よりも好調に推移した一方、キーテナントは▲1.8%と前年を下回った。中都市は大都市へのアクセスが良いため、行動制限がなく外出需要が高まったことで客足が大都市に流れたものと考えられる。
- 周辺地域は総合で前年同月比伸長率+3.4%となった。飲食やクリスマス関連品が好調だったSCがある一方、外出機運が高まり巣ごもり需要が落ち着いたことにより、売上が伸び悩んだSCもみられた。
[地域別]
- 北海道は、総合で前年同月比伸長率+20.3%となった。県外からの旅行客や帰省客の来館者数が増えたことやインバウンド客の増加により、テナント、キーテナントともに他地域と比較して伸長率が最も高かった。
- 関東は、総合で前年同月比伸長率+4.7%となった。クリスマスが週末に重なったことにより飲食や食料品が好調だった。今回の年末商戦で1日当たり売上が過去最高となったSCもみられた。
- 近畿は、総合で前年同月比伸長率+5.2%となった。中心地域は+11.0%となり、旅行客の来館者数増などの影響で大阪市を中心に2桁伸長率となったSCが多かったが、周辺地域は+3.0%となり、地域によって差が開いた。
[業種別]
- クリスマスや忘年会などの外食需要の高まりにより、飲食が好調だった。旅行客や帰省客の来館も増え、ランチタイムだけではなくディナータイムにも賑わいが戻っているとの声が聞かれた。
- 外出需要の高まりと気温低下により、アウターなどの冬物衣料が高稼働した。またクリスマスでギフト需要が高まり、靴や鞄などファッション雑貨も好調だった。
- 旅行客や帰省客の来館により、土産品や和洋菓子が売上を伸ばした。