ご挨拶

(一社)日本ショッピングセンター協会 会長
東日本旅客鉄道(株) 顧問

清野 智

日本ショッピングセンター協会は、今年4月をもって創立50周年を迎えました。この節目に立ち会えたことを大変嬉しく思い、また、これまで当協会の発展にご尽力いただいた諸先輩をはじめ、多くのご関係の皆様に心より感謝申し上げます。

1973年に創立された当協会の前身は、有志18社による小さな勉強会でした。その探究心と交流の輪はショッピングセンター(以下、SC)の拡大とともに大きくなり、今ではディベロッパー、専門店、サポート企業からなる900を超える会員の皆様とともに、様々な議論を通じて日々業界の発展に努めております。

この数年は新型コロナウイルス感染拡大に伴って、生活者の皆様に様々な行動変容が生じ、SCの開発や運営においても多くの変化が求められています。2023年は社会経済活動が正常化に向かっていくなかで、多くの産業が次代に対応したビジネスを具体化していく年となります。そういう意味で、今年は「新たなSCを創る」スタートの年と考えております。今、我々が取り組むべきことは、次の3点です。

1つめは、「リアルな場を持つ強みを活かし、お客様の生活の質を高める存在へと進化すること」です。

コロナ下での生活を経験されたお客様は、単なる購買行動にとどまらず、新たな出会いや思いがけない体験を求め、人と過ごす時間や交流の場を強く求めています。SCが地域の賑わいや心地よい時間を生み出すコミュニティの役割を担い、その地域への愛着や誇りを育む存在になっていく。このような進化に取り組んでいきたいと考えています。

2つめは、「生活者の日々の暮らしを支える、真の社会インフラへ進化すること」です。

昨今は頻発する自然災害もあり、防災への取り組みが欠かせません。SCが地域の皆様にとって日常生活の一部であるからこそ、有事の際にも安心して避難していただける場所となります。SCが平時も有事も身近な存在として認知され、地域の安全と安心を皆様と共に創っていく存在を目指していきます。

3つめは、「SCで働くすべての人が、活き活きと働ける、魅力ある職場へと進化すること」です。

SCは地域の皆様にとっての働く場でもあります。「働いてみたい」、「ずっと働きつづけたい」、「また働いてみたい」と、様々なライフステージで感じていただけるように、「SCにおけるウェルビーイング」について議論を進めるなど、「働く場としても魅力あるSC」を実現してまいります。

これまで、ディベロッパー、専門店、そしてサポート企業の3者が力を結集し、SCの発展に取り組んでまいりました。これからのSCは、「日々の暮らしに無くてはならない存在」として地域の持続可能な発展に寄与する必要があります。地域の皆様の想いに寄り添い、時代の変化に対応しながら、これらの取り組みを絶えず進化させていくことが求められているのです。地域の皆様との対話をさらに深め、一体となってまちづくりを進めることが、更なる社会インフラとしての進化や新たな50年への一歩に繋がります。

当協会としてもこれまで培ってきた「人材の育成」、「情報の収集・発信」、「研鑽・交流の促進」を事業の柱とし、未来の創造に挑むSCを全力で支援してまいります。

最後になりますが、これまでの50年の歩みに際して、ご支援ご協力いただきました会員企業の皆様をはじめ、関係者の皆様に改めて御礼申し上げるとともに、次の50年がSCに関わる全ての皆様にとって豊かなものになること祈念しまして、私のご挨拶とさせていただきます。

(一社)日本ショッピングセンター協会 副会長
イオンモール(株) 代表取締役社長

岩村 康次

この度、日本ショッピングセンター協会は、創立50周年を迎えます。この日を迎えられることができましたことは、これまで多くの皆さまの並々ならぬご尽力の賜物と、心よりの尊敬と感謝を込めて、お慶び申し上げます。

当協会が創立された1973年は、第4次中東戦争の勃発で、原油価格が高騰したことにより「第1次オイルショック」を引き起こしました。世界的な燃料不足、原料不足、各国の生産性低下により、急激な物価上昇で「狂乱物価」といわれるようなインフレが発生した年となります。そして、50年後の現在も紛争やテロは止まず、同様の問題を社会に引き起こしています。今こそ、平和の価値とはなにかを問い直すときが来ているのかもしれません。平和とは、戦争や暴力がないということに止まりません。心の安寧に加えて、戦争や災害さらには、さまざまな不幸から立ち上がり、乗り越える力をも含むものです。

また、近年、大震災や異常気象などの自然災害が世界的に頻発するなど、自然環境・社会環境・経済環境は目まぐるしく変化し、社会課題も多様化しています。そして、新型コロナウイルス感染症の長期化も、人々の生活環境や価値観を大きく変えました。

現在は、多くの人々が「世の中で良いとされていることは、果たして自分にとって良いことなのか」など、これまでの常識や世間の風潮に流されず、「自分らしさ」を求め、個々人の価値観・判断基準を持ち行動するようになっています。

私たちは、社会環境の複雑性が増し、「想定外」のできごとが次々と起こる、まさに「予測不可能」な不確実性(VUCA)の時代に、多くの脅威を抱えて事業を行っています。この脅威を機会に変えるために重要となるのが、根底にある共通課題、SDGsのSにあたる「サステナビリティ(持続可能性)」です。

不確実性の時代においては、時々刻々の社会変化や予兆を敏感にとらえ「市場に新しい価値、お客さま価値を創造し続ける」ことに加え、「経済的価値のみならず、社会的価値を高め、地域社会に期待される企業であり続ける」ことが、サステナブル企業の条件となります。

今のまま何もしなければ、やがて行き詰ってしまう、持続不可能な社会になるのは明白です。環境・社会・経済を包括的にあるいは両立させながら解決をめざしていく行動こそが、サステナブルな社会に対処できる強靭(レジリエント)な社会への歩みを確かなものにします。

このように、私たちは同じ課題意識と、それを解決したいという「志」を持つ方々と共に、新たな解決策となる営みを共創するための活動を強化しております。今後、協会会員の皆さまとより連携を密にして、持続可能な地域の共創に共に取り組んでいきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

(一社)日本ショッピングセンター協会 副会長
三井不動産商業マネジメント(株) 代表取締役社長

大林 修

日本ショッピングセンター協会創立50周年おめでとうございます。実は、私は創立30周年記念座談会に参加し、今後のショッピングセンター(以下、SC)について語ったことがあります。その時は、当時の大甕専務理事にご指導いただきながらの座談会でした。創立40周年では弊社元社長の安藤が語っていますが、今読み返してみると見事に当たっている点が多く、驚きました。インバウンドが増え、オンラインとリアルが融合するという点です。そして私は何を考えるべきでしょうか? 私はどうしても現実路線になってしまいますので、本来であれば30代前後の方々に未来を語ってもらうのがよろしいかと思いますが、今後について少し語らせていただきます。

コロナによって再確認できたことがあると思っています。それは人々がふれあいを欲しているということです。そして、SCにはその役割が求められていると改めて感じました。のんびりする、友人と語りながら過ごす、家族で食事やイベントを楽しむなど、様々な経験ができるのもSCの魅力の1つです。私は、SCをこのようなサードプレイスにしたいと社内で話しています。また、インバウンド需要が増えることも確実です。やってくるのはお客様だけでなく、商品であったり、情報であったりしますし、日本からも出ていきます。そんなマルチバウンドの時代になっていくことをうまく取り込むことができればSCがさらなる発展に繋がる機会となります。

さらにSCは施設単独での魅力だけでなく、地域の魅力が求められると思います。SCに加えてオフィスや住宅、ホテル等との複合化やスポーツ、エンターテインメント、行政サービス、公園などとも一体化した街の魅力です。買い物、飲食、サービスなどに加え、地域ならではの商品の発掘やイベントの開催、地域連携や防災機能も強化する。訪れたくなる街づくりには、SCの運営ノウハウも活かされると思います。

また、必ずしも大規模なものに限らず、例えば道の駅のような立地・役割に公園やサービスが加わり、アウトドアなど特徴的なMDが展開される小規模なSCなども支持を得られるかもしれません。もちろんこれらは地域ニーズの裏打ちがないと成り立ちませんが、このようなケースも含めてSCの定義も飛躍的に広がっていく時代になるように思います。

サステナビリティの精神を共有し、SCがご出店者とともに歩み続ける、そのために解決すべき課題もまだまだありますし、時代が変化する中でSC協会の果たすべき役割も変化があると思います。この点は皆様と一緒になって考えていきたいと思います。

徒然なるままに思っていることを書き連ねたに過ぎませんが、若い方々に新しい発想をどんどん出していただき、10年後に進化したSCが実現していることを楽しみに待つことといたします。

あらためましてこの50年間の協会活動を支えてくださった皆様、会員の皆様への感謝を申し上げます。今後も会員各社が一体となって、業界の発展とともにより豊かな社会を実現できるように努めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

(一社)日本ショッピングセンター協会 副会長
片倉工業(株) 取締役会長

佐野 公哉

このたび、日本ショッピングセンター協会が創立50周年を迎えました。会員企業様をはじめ関係各社の皆様におかれましては、長きにわたり当協会の活動を支え、発展にご尽力を賜りましたこと、厚く御礼申し上げます。

私たちの生活に大きな影響をもたらした新型コロナウイルスの流行は、ようやく収束に向かっております。コロナによって、人びとの生活様式や消費行動の転換が起きたという声をよく耳にしますが、実際は、パンデミック以前からそれらの動きが、徐々に進行していたと思われます。それを支えるデジタル化の進展は目覚ましく、変革のタイミングを待っていたといっても過言ではないと思います。そしてコロナという未曽有のパンデミックによって、それらの動きが一挙に加速されたわけです。したがって、収束したからと言って元に戻ることはなく、不可逆的なものであると考えております。

これまでSCは、「不易流行」を実現することで、成長と進化を続けてまいりました。つまり、変化しない本質的なものを大切にしつつ、新しい変化を捉え、柔軟に対応してきたのです。SCがお客様や社会に求められる存在であるためには、今こそ本質的なものが何か、そして対応すべき変化は何かということ再認識し、それらに向き合う必要があると考えております。

まず、変わらないもの、本質とは何かということですが、私は「地域との共生」だと考えます。SCはお客様、テナント等だけでなく、地域社会におけるコミュニティの中心を担っております。地域社会があってこそ、はじめて、SCの存在が成立するものであります。言い換えれば、SCのサステナビリティと地域社会のサステナビリティとを同期化させることこそ私たちディベロッパーに求められていることであり、SCに関係するステークホルダーと一緒になって地域社会の持続性の実現を目指していく必要があります。

一例をあげますと、SCにおいて緑豊かな空間を創り出し、お客様には自然を感じながら心地よくショッピングを楽しんでいただくとともに、地域社会の自然環境の充実、環境教育の場としていくサステナビリティを、SCならではの情報発信力やプロデュース力によって、実践していくということがあるかと思います。

次に変化への対応について申し述べます。それはすなわち「デジタル化との最適な組合せ」を模索することだと考えます。消費者は利便性・快適性・楽しさなど、様々な目的に応じてEコマースとリアル店舗を使い分けるオムニチャネル化の流れは、今後もますます強まっていきます。

そうした中で、リアルの場をもつSCの役割として、ご家族や親しい友人と過ごす時間や、思いもかけない商品やサービスとの出会い等、その施設にわざわざ行くリアル価値を創造していくことが求められています。

最後になりますが、当協会が創立50周年の大きな節目を迎えることができたことに改めて感謝を申し上げます。次の10年、その先も会員企業各社と協会が一丸となってSC業界の進化と発展に邁進されますよう、50周年の祝意とともに祈念申し上げます。

(一社)日本ショッピングセンター協会 副会長
(株)アダストリア 代表取締役会長

福田 三千男

人・企業・地域との共働でSC業界をサステナブルに

日本ショッピングセンター協会が創立50周年を迎えられましたことを心からお祝い申し上げますとともに、これまで業界の発展に尽力してこられた皆様方へ感謝を申し上げます。

振り返りますと、この10年間は誰も予測し得なかった変化の連続でありました。特にデジタル領域の進化は目覚ましく、スマートフォンの普及とともに、生活のあらゆるシーンにオンラインのサービスが浸透しました。さらには、2020年からのコロナ禍がより一層デジタル化を加速させ、世界中が困難に立ち向かいながらも、変化に挑み続けました。変化は働き方や生活様式にとどまらず、地域社会との関わり、家族の安全や健康など、大切なものを改めて見つめ直したことで、生活者にとって豊かさや幸せの定義そのものが大きく変容しています。これらの変化は不可逆であり、企業の在り方、本質が問われる時に来ています。

当社は、1953年に茨城県水戸市の紳士服店として創業し、2023年に70周年を迎えることができました。現在は、国内に約1200店舗、30以上のブランドを駅ビル、ファッションビル、郊外型SCを中心に展開し、SCの発展とともに成長してまいりました。70年の歩みの中で、その時代のお客さまの生活を豊かに、幸せにすることが、常に変わらぬ我々の使命であります。それは、この先の10年も変わることはありません。

SC業界全体が発展と成長を続け、これからの時代のお客さまと出店地域のために果たすべき役割は何か。常々考えておりますが、私はSCには大切な役割が3つあると思っております。

第一に、食料品や生活用品を供給するいわばライフラインとしての役割です。コロナ禍において、多くの商業施設が休業・時短営業を余儀なくされました。しかし、そのような状況下でも、生活に不可欠なものが集まる場所には、人々が集まり、生活する上で必要な情報が様々に集まるようになります。東日本大震災でも、商業施設が緊急避難場所として人々の拠り所となりました。SCは日常・非日常の両場面において、ライフラインであると同時に、コミュニティセンターのような機能も果たしているわけです。

第二には、地域に雇用を創出し、地域経済の安定と活性に貢献する役割です。我々テナントとディベロッパーが協力して、従業員が働きやすく、誇りを持って働くことのできる環境づくりをしていく責任があると考えております。日本ショッピングセンター協会でも、2018年にES宣言を行いましたが、これを必ず実現するため、会員各社は具体的な取り組みに移さなければなりません。当社では、2021年から新静岡セノバ様と協働し、営業時間の適正化や休業日を増やす取り組みにチャレンジしています。無理や無駄をなくすことで、結果として働く人、お客さまの双方にとって質の高い時間を生みだし、商業施設や出店地域の価値を高めていくことにつながります。

第三には、人が集まり、文化の育成を担う役割です。これほどオンラインサービスが浸透した生活の中にあって、それでも人が集まる場所であり続けるには、そこでしか得られない体験や、価値ある時間を提供していく必要があります。SCがお客さまと働く人をつなぐ地域の架け橋となり、出店地域に豊かな生活文化を育成する起点となるべく、これまでの常識にとらわれない変革に真摯に取り組むことが、社会とともに未来まで成長を続けていくサステナブルなSCを実現すると考えます。

変化の波の中で対処すべき課題は多いですが、地域社会とお客さまの生活に寄り添うという我々の使命を忘れることなく、テナント企業、ディベロッパー企業が一体となり、未来へ向けた変革の時代を共に創造していきましょう。50周年という節目の時を迎え、また次の10年に向けて、日本ショッピングセンター協会が有意義なチャレンジをより一層続けていくことを祈念しております。

(一社)日本ショッピングセンター協会 副会長
(株)グルメ杵屋 代表執行役社長

椋本 充士

このたびは、日本ショッピングセンター協会(以下、SC協会)が創立50周年を迎えられたことを、心からお祝い申し上げます。

SC協会は、1973年の創立以来、国内のショッピングセンター(以下、SC)の発展に寄与され、今日におけるSCは、単なる商業施設としてだけではなく、生活者ニーズに応えるコミュニティ施設として都市機能の一翼を担う存在となっております。

弊社は、外食企業として、全国のSCにテナントとして多種多様な業態を出店しております。うどん、そば、和洋食、韓国料理など、ディベロッパーのご要望とお客様のニーズに合わせ、地域の皆様に愛される店づくりに努めています。

また、SC協会が、テナント従業員の資質向上を図るため開催する「SC接客ロールプレイングコンテスト」においては、弊社店舗従業員もSCを形作る一員としての誇りを持って参加しております。

さて、2020年から2022年は、新型コロナウイルス感染症の対応に追われた3年間でした。2020年4月には第1回目となる緊急事態宣言が発出され、多くのSCがその影響を受け、出店する弊社店舗も臨時休業や営業時間の短縮を余儀なくされました。営業可能であった店舗も、席数の縮小やアクリル板の設置等、大幅な制限を受ける中、ディベロッパーの皆様のご協力をいただきながらの営業となりました。

コロナ禍においては、ディベロッパーの皆様に多くのご支援をいただき、今日に至る状況でございます。2023年3月13日の「マスク着用の緩和」および5月8日の「新型コロナウイルス感染症の5類移行」により、SCの客足は回復するものと思われます。弊社もその一助となるため様々な施策を講じてまいる所存でございます。

また、近年を振り返ってみますと、IT技術の発達・普及を中心に、お客様のニーズは年々多様化し、より複雑なものとなっております。SCへのお客様の要望も増えていく中、私たちテナント出店者は、今後も常に新しいトレンドやテクノロジーにアンテナを張りめぐらせ、変化に対応していかなければなりません。

そして、SDGsやダイバーシティ等に代表されるサステナビリティの課題解決においても、SCは大きな役割を担っております。環境に配慮した施設運営、地域経済の活性化、地域コミュニティとの連携など、多くの面で持続可能な社会の構築に貢献するビジネスとして、今後も大きな成長が見込める事業と言えます。

業界の未来に向けて更なる発展のため、SC協会、ディベロッパー、そしてテナントの皆様が今まで以上に協力体制を取ることで、SCのみならず、地域の活性化ひいては豊かな社会づくりに貢献してまいりましょう。

(一社)日本ショッピングセンター協会 総務・会員委員会委員長
三菱地所プロパティマネジメント(株) 代表取締役専務執行役員

高橋 哲也

協会創立50周年と、これからの「総務・会員委員会」

この度、日本ショッピングセンター協会は創立50周年を迎えることができました。この日を迎えられることができましたこと、これまで多くの皆様の並々ならぬご尽力の賜物と心よりの尊敬と感謝を込めて、お慶び申し上げます。大変僭越ではありますが、「総務・会員委員会」を代表しまして、これまでの日本におけるショッピングセンター(以下、SC)の歴史を振り返るとともに、次の10年に向けてお話させていただきます。

1960年代に日本初の本格的なSCが誕生し、半世紀以上が経過しました。当時、北米で加速していたモータリゼーションの発展を予見し、大規模駐車場も併設され、ワンストップ・ショッピングを実現。人々の生活がさらに豊かになり、利便性も向上し、街や沿線、そして、各地で新たなSCの開発も続きました。その後、2018年にSC数はピークを迎え、人々の生活には欠かせないものとなりました。

しかしながら、加速する少子高齢化や人口減少、人口集中が進む都市と過疎化が進む地方、働き手の不足、普及や利便性向上が進むEC、さらには2020年からの新型コロナウイルス感染症の蔓延により、リアルの場を提供してきたSCは大きな影響を受けました。今後の発展のためにはSCビジネス自体の見直しを余儀なくされているものと認識しており、新たな変革の岐路に立たされていると強く感じております。SCが今後も持続可能かつ社会的な存在意義や価値を提供するためには、施設単体ではなく、立地や地域性を踏まえた役割や機能を持つ姿に変容する必要があると考えております。グローバルからローカルな視点まで持ち合わせ、日本国内だけでなく、世界に通用する新たな価値提供の手法がますます重要になります。

以上のように、次の10年に向けて新たな挑戦や変革の連続とはなりますが、見方を変えれば、SCから日本をさらに発展させる契機と捉え、当協会会員企業をはじめとしたSC業界関係者の皆様、そして、日頃よりSCに足を運んでくださる皆様とともに新たな未来に向けて歩み出したいと考えております。総務・会員委員会としても、SCという空間をより楽しんでいただけるよう、さらには豊かな暮らしの起点ともなるよう、変化し続ける社会への対応や環境整備、ES向上、当協会会員企業の皆様に向けた総務活動を一層強化してまいります。今後も会員企業の皆様と緊密に連携のうえ、活動させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。未筆ながら、当協会の一層のご発展と皆様方のご活躍を祈念し、お祝いの言葉とさせていただきます。

(一社)日本ショッピングセンター協会 人材育成委員会委員長
八重洲地下街(株) 代表取締役社長

窪田 弘美

共創価値を生み出せる人材育成を目指して

日本ショッピングセンター協会創立50周年、誠におめでとうございます。協会の発展に寄与してこられた会員企業や先輩各氏のご尽力に、心より敬意を表するとともに深く感謝申し上げます。

協会の2代目会長である倉橋良雄氏の著書「ザ・ショッピングセンター」によると、1970年ごろから全国各地に建設された大型ショッピングセンター(以下、SC)は、次第に経営上の問題が表面化し、経営悪化に陥るSCもあったそうです。そのようななか「SCの勉強会をはじめようじゃないか」という声があがり、発足したのが当協会の前身である「ショッピングセンター研究会」であったと記されています。

その研究会で培われた「共に学び合い、研究や研鑽を積んでいく」という風土は、当協会の「人材育成・研修」「情報の収集・発信」「研鑽と交流の促進」という3つの事業に引き継がれ、人材育成委員会は、「人材育成・研修」を中核とした活動を行ってきました。

経験豊富な実務家や一流の講師陣による研修会は、SC運営・管理業務に関する基本編セミナーから経営者向けのフォーラムまで、幅広い内容を網羅してきました。SC経営者の育成を目的とする「SCアカデミー」は約600名が修了し、協会認定資格である「SC経営士」「SC接客マイスター」は合わせて約2,600名が取得されました。

長年にわたり、SCのプロフェッショナルを育てる場を提供してきましたが、明らかに世の中のフェーズが変わった今、これからの人材育成プログラムは、将来を見据えた内容に発展させていく必要があると思います。

すでに顕在化している生産年齢人口の減少は、店舗の従業員不足のみならず、将来的には人口減による施設の減少も予測しており、今まさに、SCや店舗の存在意義(パーパス)を再確認することが求められています。私たちがお客様や地域社会にとって必要不可欠な存在となるためには、物事の本質を見極めて、関係する人々と新たな共創価値を生み出すことのできる人材を、業界全体で育てていくことが肝要です。その人材育成の中核となるのが「SCアカデミー」と「SC経営士会」ですが、新たな価値創出を提言できるようにカリキュラムをさらに強化していく必要があるでしょう。

そして同時に、SC業界に興味をもつ人の裾野を広げることも重要です。すでに協会では人材育成の対象を大学まで広げて、協会の冠をつけた講座(SC冠講座)を、延べ48校、約8,000人の大学生に提供してきました。これからは異業種から新たな発想をもってSC業界で活躍したいと望む人にも、研修会などにご参加いただけるような環境を整えたいと思います。

そして何より、SC業界でさまざまなことにチャレンジしたいという意欲ある人材を惹きつけるためには、私たち開発・運営企業やテナント企業自身が、より魅力ある存在になっていく必要があります。そのためにも、会員企業が会社の垣根を越えて、知見や情報を共有できる機会の提供は、協会の重要な役割です。SC業界全体が進化・発展し続けるためにも、協会だからこそできる「共に学び合い、研究や研鑽を積んでいく」人材育成の形を大切にしていきたいと思います。

(一社)日本ショッピングセンター協会 情報委員会委員長
(株)JTB 常務執行役員 地域交流担当 CX推進担当

三輪 美恵

SC業界の発展に貢献できる「情報委員会」を目指す

日本ショッピンセンター協会創立50周年にあたり、これまで多くの関係各社様のご尽力によりこの日を迎えられたことに心より敬意と感謝を込めてお慶び申し上げます。

「情報委員会」は、ショッピングセンター(以下、SC)業界の情報発信と、協会の広報活動を所管し、月刊誌「SC JAPAN TODAY」の発行や、協会WEBサイトなどの広報メディアの運営のほか、年2回(夏/冬)の定例記者懇談会などを行っております。

私は2023年度からの参画となりますが、これまで情報委員会を支えてこられた皆様のご尽力に感謝を申し上げますとともに、引き続き関係の皆様と協力しながら、適切な情報をわかりやすく発信していきたいと考えております。

月刊誌「SC JAPAN TODAY」は、2023年7月で創刊(1973年7月15日創刊、当時の名称は「JAPAN COUNCIL OF SHOPPING CENTER」)から50年を迎え、同年7・8月合併号では、「創刊50周年記念号」として創刊号の復刻デザインの表紙や、当誌の歴史を振り返るスペシャルコンテンツなどを掲載しました。また、情報委員会内でワーキンググループを立ち上げ、協会創立50周年記念媒体として、記念写真集と記念特設サイトを企画制作しました。

月刊誌の特集で取り上げるテーマも時代とともに変化し、最近の号では「物価高対策」「人手不足対策」といった社会課題に焦点を当てた内容や、「オープンイノベーション」「SCづくりの“新視点〟」などSCビジネスの未来を考える切り口を発信しました。

コロナ禍を経て人々の価値観やライフスタイルが大きく変わりました。ECの圧倒的な拡大や、継続的な社会課題である少子高齢化や人口減少問題、脱炭素への取り組みなど、SCを取り巻く環境が大きく変わり、ビジネスモデルの変革やイノベーションが求められていると思います。

DXやAI活用の拡大などにより今後さらに変化のスピードが高まり、先の予測がつきにくい時代において情報委員会に求められるものは、タイムリーでスピード感のある情報発信に加え、発信側と受信側とのつながりの強化、そこから新たな共創を生み出すプラットフォーム的な役割も出てくるのではないでしょうか。これからの50年がどのように変化するかまだわかりませんが、情報委員会は時代の変化に即した積極的進化を目指したいと思います。

改めましてこの50年間の協会活動を支えてくださった皆様、会員の皆様に感謝を申し上げます。今後も会員企業が一体となったSC業界の発展とそれを通じた豊かな社会実現への貢献ができるよう、情報委員会の立場からも努力していく所存です。ぜひ引き続き皆様からのご支援ご関心をいただけますようよろしくお願いいたします。

(一社)日本ショッピングセンター協会 調査研究委員会委員長
(株)関西都市居住サービス 代表取締役社長

中瀬 弘実

協会創立50周年と、これからの「調査研究委員会」

この度、日本ショッピングセンター協会が創立50周年という大きな節目を迎えられましたことを、心からお祝い申し上げます。

協会の創立以降、第一次オイルショック、バブル崩壊、大震災、そして、世界的なパンデミックと幾多の困難がありました。また近年では、世界的な物価高、人手不足など、ショッピングセンター(以下、SC)業界を取り巻く環境は厳しいものとなっています。しかしながら、これまでのSC業界を振り返りましても幾多の困難に遭遇するなか、今ではSCの数は全国で3,000を超えるまでに成長・発展してきています。

調査研究委員会では、「国内外SC及び流通全般にわたる調査及び実情の把握とそれら情報の提供」、「経営支援情報などSCの抱える当面の課題に対する調査研究」、「各国のSC関連団体との交流」などを軸に活動を行ってまいりました。具体的には、国内のSCの数や売上げ、賃料などを調査し発表しているほか、国内外のSC業界の動向をまとめた「SC白書」を毎年発行しています。

過去の調査活動を振り返りますと、協会創立の翌年である1974年9月、全国のSCの実態を明らかにし、わが国SCの定義の作成を主たる目的として「SC実態調査専門委員会」を設置し、同年12月には「SC定義」を制定しました。SC定義は、その後2度の改定を経て、現在の「SC定義・取扱い基準」となっておりますが、近年、「モノからコトへ」の消費行動の変化が一層進み、商業施設の形態が多様化していることから現在、調査研究委員会では、「SC取扱い基準」の改定についての検討を進めているところです。

一方で、基本調査である「SC販売統計調査」は1976年4月から継続して行っており、同年同月にはSCの総合資料である「ショッピングセンター名鑑」が創刊し、この名鑑は不定期ではありますが、2001年(CD-ROM版)まで刊行しました。また、1983年には「SC賃料共益費実態調査」をまとめており、この調査は現在に至るまで実施している基本調査です。これらの調査を長年にわたり続けてこられましたのは、ひとえに会員並びに関係各社の皆様のご協力の賜物と心より感謝を申し上げる次第です。これからも、SC業界の実態を正確に把握するため、皆様に引き続きのご協力を賜りたくお願い申し上げます。

また、協会創立50周年という節目を迎えるにあたり、SC業界をデータで振り返りができるように、これまで蓄積してきた統計データを改めて整理しました。

調査研究委員会は、今後もSC業界の時代の変化に的確に対応した調査活動を行うとともに、これまで蓄積してきた調査データを協会会員の方々にご活用いただきやすくするための統計データベースを構築するなど、SC業界のデータバンクとしての役割を果たせるよう、一層の努力をしてまいります。

最後になりますが、会員の皆様方のますますのご活躍とご発展を心より祈念申し上げます。

(一社)日本ショッピングセンター協会 全国大会実行委員会委員長
JLLリテールマネジメント(株) 会長

大津 武

「日本ショッピングセンター全国大会」~新たな10年に向けて~

SCビジネスフェアとSC接客ロールプレイングコンテストからなる「日本ショッピングセンター全国大会」は、SCを構成するディベロッパー企業、テナント企業、そしてサポート企業が多数出展し、SC関係者が一堂に参集する総合イベントとして、日本ショッピングセンター協会50年の歴史とともに発展してまいりました。

協会が産声を上げた1970年代は、米国型のチェーンストア理論を基盤とした第1次流通革命がモータリゼーションの後押しを受け、ショッピングセンター(以下、SC)の時代に昇華しようとする躍進の時代でした。その流れは1980年代の「モール&専門店」の発展や2000年以降の「巨大複合商業施設や都市型ファッション専門店ビル」の発展へとつながっていきました。SCに関わる各業界の成長が多店舗展開に支えられた相互発展の時代は、我が国のメーカーや小売業など、テナント企業躍進の源泉そのものでありました。

しかしながら時代は変遷し、デジタルテクノロジーの発展や社会、生活に対する価値観の変化が、人々の消費行動に大きな変化をもたらしています。SC関連の各業界は自らもまた変化への転機を迎えているといえるでしょう。

多様性の時代、企業の成長戦略は「多角化」「複合化」あるいは「国際化」とさまざまです。そこで、日本ショッピングセンター全国大会におきましては、方向性を絞ることなく、ご来場されるすべての皆様にとって「変化への気づき」となるさまざまなコンテンツの充実を図ってまいる所存です。2023年1月に開催したSCビジネスフェア2023では、併催イベントとして、SCの明日を担う新規事業や新業態の発掘と育成を目指す「チャレンジピッチ」を立ち上げ、好評をいただきました。さらなる来場促進に結びつくような工夫を引き続き重ねてまいります。

デジタル社会の急速な発展などにより人々の購買行動が変化するなか、SC業界で重要な位置を占めるテナント企業やメーカーの皆様は、ディベロッパーよりもはるかに高い危機意識をもち、変化を受け止めてビジネスの革新に取り組み、そして新時代の成長の芽をつかもうとされているのではと推察します。だからこそ、ディベロッパーはテナント企業の皆様の新たなビジネスモデルを理解し、「新たなプラットフォーム」となるよう自己研鑽に努め、SC業界全体で、新たな成長に向けて歩みを合わせていくべきと考えております。

第1次、第2次、そして第3次といわれる流通革命の時代、歴史を振り返ればSC業界は変化の機会に満ちた魅力あふれる業界です。日本ショッピングセンター全国大会は、SC業界を構成するすべての皆様のさらなる成長を支援する存在として、「全国大会」に相応しい多くの有益なコンテンツを準備してまいる所存ですので、ぜひとも会場に足をお運びいただき、皆様の事業の発展にお役立てくださいますようお願いいたします。

(一社)日本ショッピングセンター協会 デジタルトランスフォーメーション委員会委員長
J.フロント リテイリング(株) 執行役常務

林 直孝

デジタルトランスフォーメーションの力で、SCのCX・EXを豊かに

協会会員の皆様のたゆまぬ努力でショッピングセンター(以下、SC)業界が進化を遂げてきたこの半世紀は、同時にさまざまなテクノロジーの進化への対応やその活用の歴史でもありました。

「デジタルトランスフォーメーション委員会」(以下、DX委員会)は、2013年のEC研究会設置を皮切りに、以後さまざまな変遷や統合を経て、2020年に新設されました。活動の目的は設立当初より、

(1)顧客満足を高める取り組み=CX(顧客体験の向上)領域
(2)生産性を向上させる取り組み=EX(従業員体験の向上)領域

という2つの視点から、「現在のSCが抱える課題を抽出し、SCのあるべき姿をテーマにテクノロジー全般の情報収集と整理を行うことで、SC運営に役立つテクノロジーの実装化に向けて研究を推進すること」として活動を行ってまいりました。

CX領域では、会員の皆様の興味・関心に応じてテーマ設定をし、年2~3回の頻度で勉強会を開催してまいりました。内容は「SCにおけるDX推進のハウツー」「スマートフォンアプリの活用」、「中国のDXの最新動向」「WEB3時代におけるメタバースの可能性」、直近では「生成系AIの本質を理解する」といった、デジタル技術の動向と会員ニーズをタイムリーに捉えた企画を行ってまいりました。

EX領域では、全国のSCで働くテナント従業員の皆様の業務の生産性向上に寄与する活動を目指し、各SCが日々の業務として行う「売上精算報告」という業務に焦点を当て、月に1回の頻度でワーキンググループによる討議と、その成果報告としての発表を年次で行ってまいりました。売上精算報告業務は、各SCにて同様の業務を行っているものの、①報告項目、提出方法は標準化されていない、②テナント従業員による手作業での集計、紙の報告書への転記と提出を求めている施設も多く、アナログな業務に依存しており、SC側もその集計作業や提出された報告書や伝票類を保管する必要があるなど、テナント・ディベロッパー双方が大きなコストをかけて運用しているのが現状であり、この解決は重要課題と認識しております。

協会創立50周年の節目となる2023年度は、課題解決に向けて具体的なアクションを強め、他業界の標準化やデジタル化の先行事例を参考に、売上精算報告業務の標準化(報告項目の精査、効率化された業界標準項目の制定)案の発表を目指して精力的に活動を進めてまいります。

そして、次年度以降はその業界標準に適合したシステム化として、テナントPOSシステムとディベロッパー売上精算システムをつなぐ、業界標準のデジタルプラットフォーム整備などにより、近い将来、日々の売上精算報告業務にかかる作業がなくなり、お客様への価値提供にテナント従業員、SC運営に関わる皆様がさらに注力できる環境をつくってまいりたいと考えています。

最後に、業界のさらなる発展を祈念し、引き続きDX委員会の取り組みについて会員の皆様のご賛同と、ご協力を賜れますようお願い申し上げます。

(一社)日本ショッピングセンター協会 SC経営士会会長
イオンモール(株) 専務取締役

藤木 光広

協会創立50周年と、これからの「SC経営士会」

日本ショッピングセンター協会創立50周年、誠におめでとうございます。当協会が50年間の長きにわたり運営を続けてこられたのは、ひとえに会員皆様方の積極的なご協力と当協会創立時のメンバーの思いを伝承し協会を運営されてきた協会歴代スタッフの方々のご尽力の賜物と思っております。改めて感謝申し上げます。

ショッピングセンター(以下、SC)業界はこの50年間、法規制やバブル崩壊、リーマンショックなどさまざまな危機を乗り越えてきました。そのなかでも今回のコロナ禍による営業制限は、本当にこの業界の弱点を大きく浮彫にしました。私たちは、いくら環境のよいSCをつくろうがよい専門店様を入れようがそのSCが営業できなければ事業にならないということです。私は大学を卒業してSC業界に就職し、40年間この事業に身を置いてきましたが、このなかで国による規制で長期にわたり営業できなかったことは初めてです。もう今回のようなパンデミックが起こらないという保証はありません。装置産業である我々は今後同じことが起こった時に少しでもその影響を減らしていかなければなりません。

私が会長を務めております「SC経営士会」は、このコロナ危機対応が各社バラバラに動いていた内容を調査し、またSC担当者がどのように感じたのか、今だから反省し今後改善できることなどもまとめて、今後同じことが起こったとしてもスピード感を持ってよりよい対応ができるように過去の各社の事例を整理しました。それが「Withコロナ・Afterコロナに求められるSCへの提言」という小冊子です。

私はSC経営士にできることは何かをいつも考えています。ESG経営、SDGs対応など時代の変化のスピードはますます速まっています。このような変化への対応力を持ちながらSCの経営を安定的に成長させなければなりません。また成長に欠かせない「深化」と「探索」という、相反するそして一貫性を欠く戦略的行為を同時並行的に行わなければなりません。今のサステナビリティ経営においても今まで各企業が取り組んでいる「カーボンニュートラル」への取り組みがさらに一歩進んで「ネイチャーポジティブ」に進んでいかなければならないと思います。そして10年後、20年後に今のZ世代やα世代が消費の中心となった時には「ロイヤルカスタマー」から「サステナブルカスタマー」に代わっていくものと思います。時代の変化が目まぐるしく変わっていく、そのなかにSC経営士会は感性高くアンテナを張り、SC経営士の研鑽に努めて、今後も当協会のシンクタンク的機能を担い、SC業界の魅力を高めるために努力してまいります。

最後になりますが、協会創立50周年という大きな節目を迎えることができたことに改めて関係各位に感謝申し上げます。そして、これからさらに業界が成長できるように会員企業と協会事務局が互いに協力し合い、同じ方向を向いて当協会が業界のリーダーとして邁進していきますことを祈念申し上げます。引き続き、よろしくお願いいたします。

経済産業大臣

西村 康稔

一般社団法人日本ショッピングセンター協会が創立50周年という節目を迎えられたことを、心よりお慶び申し上げます。

我が国のショッピングセンターは、衣料や飲食等の専門店による多様な消費を提案し続けてきており、高度成長期にモータリゼーションの進展に伴う郊外での立地展開により、全国的に普及しました。その後も、消費者の価値観やライフスタイルの変化に対応し発展を遂げてきました。

いまや、ショッピングセンターが提供するワンストップショッピングの利便性は私たちの生活にとって欠かせないものとなっております。

また、地域社会インフラとしての機能の面でも大きな役割を担っていただいております。「交流の場」として地域に貢献してきたのみならず、災害時の物資供給や避難場所の提供などの社会的な役割を担っていただいていることに改めて敬意を表します。特に、私が新型コロナウイルス感染症対策担当大臣を務めていた際には、ワクチンの接種会場としてショッピングセンター内の施設を提供いただくなど、大変お世話になりました。

現在、我が国は、少子高齢化・人口減少や、原材料・燃料価格の高騰、物流コストの上昇という課題に直面しています。また、ショッピングセンターにとっては、脅威となり得るEコマースが急速に発展する等、消費者ニーズも変化してきています。

こうした不確実な事業環境においても事業を継続・発展させていくために、人手不足への対応、店舗における生産性の向上や、物流の効率化など、先を見据えた準備がますます重要となってきます。

貴協会におかれても、人材育成のためのプログラムの用意や、地域貢献ガイドラインの作成、新サービス発掘のためのコンテストの開催など、多岐にわたる活動を行って業界の取組を後押ししているものと承知しています。

経済産業省としましても、昨今課題となっている人手不足への対応や、店舗における生産性の向上に向けて、スタートアップ等の流通テック企業を発掘するコンテストを実施するなど、流通・物流サプライチェーンの効率化を推進しております。

特に物流については、人手不足などが、物流業界や小売業界のみならず、社会全体の課題となりつつあるところ、令和4年9月、国土交通省、農林水産省と共同で「持続可能な物流の実現に向けた検討会」を立ち上げ、荷主事業者や消費者がそれぞれの担うべき役割を再考し、商慣行の見直しなどを通じて物流における課題を解決するべく、政府一体となって検討を進め、物流の効率化に取り組んでおります。

さらに、中長期的な取組としては、物資やトラック等の情報を見える化し、業種を超えた共同輸配送を可能とする「フィジカルインターネット」を実現すべく、ロードマップを作成して、官民一体となって標準化やデジタル化等を進めております。

最後に、50年という節目の年を迎えられた貴協会及び会員の皆様方の益々の御繁栄を祈念して、また、次の50年の発展を祈念して、お祝いの辞とさせていただきます。

国土交通大臣

斉藤 鉄夫

一般社団法人日本ショッピングセンター協会が創立50周年を迎えられたことを心よりお祝い申し上げます。

貴協会は、昭和48年の創立以来、ショッピングセンターの整備等を通じて、我が国の豊かな生活づくりと地域社会の発展のために大きな貢献を果たしてこられました。

この間の会長をはじめとする役員の皆様、会員企業の皆様の多年にわたる御尽力に心より敬意を表します。また、国土交通行政に格段の御支援・御協力を賜ってきたことに深く感謝申し上げます。

近年、少子高齢化によるマーケットの変化や、社会・経済のグローバル化、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響など、ショッピングセンターを取り巻く環境は大きく変化しています。このような中、貴協会は、ショッピングセンター業界の発展や生活者の安全・安心の確保に向けて、様々な取組を進めてこられました。

特に、近年頻発する災害に対応するため、災害発生時におけるショッピングセンター内のホールの開放や、簡易マンホール型トイレ、飲料水・生活用水の供給設備の設置など、防災機能の強化に取り組まれていることは、地域の安全・安心を守る上で大変意義があるものと考えています。

また、新型コロナウイルスの感染拡大以降は、徹底した感染対策を講じることにより、利用者の方が安心して過ごせる環境を提供いただくとともに、全国各地でワクチン接種会場を設置いただくなど、感染拡大の防止に大きな役割を果たしていただきました。

さらに、再生可能エネルギーの活用やフードロスへの対応など、環境対策についても積極的な取組を進められています。

現在、我が国は、少子高齢化・人口減少などの構造的な課題に取り組むとともに、コロナ禍からの社会経済活動の確実な回復と経済の好循環の実現に向け、必要な対応を着実に進めていく必要があります。

このため、政府においては、デジタル田園都市国家構想や2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組を進めているところであり、国土交通省においても、必要な施策を着実に推進しているところです。

これらの取組を進めるためには、国民生活や経済を支える上で重要な機能を果たすショッピングセンターの役割は非常に大きく、貴協会の皆様の御協力が必要不可欠となりますので、引き続きの御支援、御協力をお願い申し上げます。

結びに、貴協会の一層の御発展と、皆様の御健勝、御活躍を心より祈念申し上げて、私からの祝辞とさせていただきます。

農林水産大臣

野村 哲郎

一般社団法人日本ショッピングセンター協会におかれましては、創立50周年という大きな節目を迎えられましたこと、心よりお祝い申し上げます。

昭和48年に創立されて以来、貴協会は、食品を含む小売業界の発展に寄与されて来られました。

ショッピングモールをはじめとした大型商業施設は、買い物をするだけが目的ではなく、人々が集い、賑わいを生む空間として地域コミュニティの核となる存在になっています。地元の採れたて野菜の販売や食にまつわるイベントの開催、地産地消や食農教育の推進など、日頃から「食」に関する活動で地域の活性化に貢献しておられることに対し、改めて敬意を表す次第です。

さて、この3年余りは、新型コロナウイルス感染症の影響が続き、お客様、従業員の皆様の安心と安全を確保しながらの営業となり、ひとかたならぬご苦労があったことと思います。現在、国内の人出も増えつつあり、外国人観光客も戻ってきているように感じられます。

今後、さらに外国人観光客が増え、日本食の魅力を十分にアピールすることにより、インバウンド需要を取り戻し、業界全体の活性化を促していくことを大いに期待しております。

農政の基本的方向を示す食料・農業・農村基本法が制定されてからおよそ20年が経過いたしました。その間に、国内市場の縮小や生産者の減少・高齢化、世界的な食料需要の拡大や気候変動への対応など、我が国の食料・農業・農村を取り巻く情勢は、基本法制定時には想定されなかったレベルで変化しています。

農林水産省では、この基本法の見直しのための検証を進めることとしており、各界各層から幅広くご意見を伺い、国民的コンセンサスの形成に努めながら、本年6月を目途に食料・農業・農村政策の新たな展開方向を取りまとめます。貴協会の皆様からも日頃の活動でお感じになられていることなどについて、ぜひこの機会にご提言をいただければと思います。

創立50周年を迎えられた貴協会が、さらに次の50年先を見据えて先進的な活動で業界をリードしていただくことに期待するとともに、ますますの御発展、御活躍を祈念致しまして、私からのお祝いの言葉とさせていただきます。

日本小売業協会 会長

野本 弘文

このたび、日本ショッピングセンター協会が創立50周年を迎えられましたことを心からお祝い申し上げます。

貴協会は1973年に創立以来、ショッピングセンター(以下、SC)に関する「人材育成・研修」「情報の収集・発信」「研鑽と交流の促進」の3つの事業を主軸としてSC業界の持続的発展に寄与されてきました。この間、多様化する生活者ニーズへの柔軟かつ迅速な対応や、地域の活性化・振興などに大きな役割を果たされてこられ、今日では900を超える会員を擁する組織として確固たる地位を築かれるに至っております。これまでの長年にわたる関係者の皆様方のご努力に対し、改めて深甚なる敬意を表する次第です。

昨今のわが国の小売業界は約3年にも及んだコロナ禍を漸く脱し、店舗にご来店されるお客様や訪日外国人旅行者が再び増加傾向を見せるなど、明るい兆しが見えはじめております。しかしコロナ禍により、デジタルトランスフォーメーションが加速し、テレワークが定着し、また脱炭素社会の実現に向けた意識が急速に高まっており、コロナ後の社会や消費者のライフスタイルは以前とは異なるステージに入ったといえます。小売業界は、エネルギー価格や諸物価の高騰、労働力不足といった足下の経営課題に対処しつつ、このような経済社会の変化にも機敏に対応していく必要があります。

デジタル化の進展により誰もがオンライン上で欲しいものを手軽に購入できるようになり、買い物という点では極めて利便性の高い時代を迎えておりますが、その一方でお客様は、リアルの世界では買い物がもつ本来の楽しさを従来以上に求めております。SC業界におかれましては、長年にわたり、リアルなショッピング空間を持つという強みを生かし、お客様の日々の生活に彩りと潤いを与え、魅力ある買い物の場づくりに取り組まれてまいりました。今後ますますご活躍の場が広がって行かれるものと思われます。

創立50周年を1つの節目として、貴協会がこれまでの輝かしい業績に新たな創意工夫を積み重ね、業界の中核としての役割を担い、わが国小売業のさらなる発展のために一層ご尽力されますことをお願い申し上げます。

最後に、貴協会のますますのご発展を心から祈念いたしましてお祝いの言葉とさせていただきます。

(一社)日本百貨店協会 会長

村田 善郎

創立50周年おめでとうございます。

貴協会は全国3000を超えるショッピングセンター(以下、SC)の統括組織として、創立以来半世紀にわたり、会員企業並びに業界の発展とわが国の消費生活を支えてこられました。同じ商業経営に携わるものとして、その功績に敬意を表するとともに、心よりお祝いを申し上げます。

貴協会の創成期にあたる1970年代には、大衆消費社会が実現し、以降、現在に至るまで、生活者のライフスタイルは、時代背景に応じて様々に変化し、それに伴う小売流通の業態革新・事業開発も活発に行われてきました。

SCは、その主導的な役割を果たしてきた業界の1つであり、今や国民生活と不可分の商業形態にまで成長を遂げています。

また、私ども百貨店との関係性で申しますと、とくにワンストップ・時間消費型のSCと百貨店とは、大規模総合商業施設という近似した業態特性から、互いに切磋琢磨するなかで、双方の利点を学びつつ進化してきた経緯があります。

政府・自治体の政策対応等においても、両業界の共通利益に関わる場面では、緊密に情報交流させていただいております。

コロナ禍の3年半を経て、消費行動や生活様式が急激に変容するなど、経営環境には未だ不透明感が残る一方、社会経済活動の正常化に伴い、実店舗の強みを生かす機会は一段と増えてまいりました。好機到来の感があります。

こうした転換期には、単なる物販業の枠を超えた、新たな生活提案と体験価値の提供という実店舗の存在意義が、一層重要になりますので、その推進によって、生活者と地域社会の支持を広げていかれることを期待します。

創立50周年を機に、ここに改めて、当方との変わらぬご厚誼をお願い申し上げるとともに、貴協会の新たな成長に向けた事業活動の進展、並びにSC業界の一層の繁栄を祈念しまして、お祝いの言葉といたします。

(一社)日本専門店協会 会長

髙野 吉太郎

日本ショッピングセンター協会創立50周年おめでとうございます。

1969年の玉川髙島屋ショッピングセンターの開業で日本の流通・サービス業は新たなステージに入り、これを機に数多くの商業施設が開発され、我が国の消費活動は飛躍的な拡大を遂げました。

その開業に先立ち、テナントとしての私たち専門店も、時代の最先端を担おうとの気概をもって大きく関わり、ディベロッパーの皆様と意見を出し合い、ときには衝突もしながら開発にご一緒させていただきました。

そのようにして生まれた日本初のショッピングセンター(以下、SC)が示したレベルの高さが以後の商業施設の基準となり、日本中にすばらしい商空間が広がりました。そのなかで私たち専門店もお客様との距離を縮めることで大きく発展することができました。先人の努力にあらためて感銘を覚えます。

それから4年後の1973年に創立された貴協会が、50年の長きにわたり、国や地方自治体との関係、そしてディベロッパーとテナントの間の調整を担うご努力を続けてこられたことにあらためて感謝申し上げます。街や地域社会に大きな変化をもたらす可能性のある大型商業施設開発にあたっての関係各署との調整などご苦労されたことと思います。

いま、コロナ禍での在宅勤務や外出制限などがオンラインショッピングの伸長に拍車をかけたことをはじめ、ロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギーや食料の価格上昇、また人手不足や働き方改革、賃金引上げへの対応など新たな課題が山積しています。しかしSCと専門店は、1970年代の石油ショックや1990年代のバブル崩壊、2008年のリーマンショックなど厳しい状況をともに乗り越えてきました。

私たち専門店にとっての課題は、販売現場での生産性を上げていくことであり、そのために営業体制を工夫して店舗スタッフの層を厚くするとともにOJTの機会を増やし、さらに貴協会のSC接客ロールプレイングコンテストを活用することで販売の質とサービスの向上に努めてまいります。

脱炭素社会の実現、SDGs、環境への配慮など、個々の企業では対応がむずかしい課題に取り組むにあたり、これまで以上に貴協会との連携を深めていければと思います。

厳しい状況が続きますが、日本の消費生活をさらに充実したものにすべく、買い物だけにとどまらず、来館されるすべての人が楽しく快適に過ごすことのできるすばらしい空間をこれからも創出されることを期待して、お祝いの言葉とさせていただきます。

(一社)不動産協会 理事長

吉田 淳一

日本ショッピングセンター協会が創立50周年を迎えられましたことを心よりお祝い申し上げます。

貴協会は、1973年4月に創立されて以来、消費者の豊かな生活づくりと地域社会の振興に貢献することを目的に活動されてきました。ショッピングセンター(以下、SC)の総店舗面積は増加傾向にあり、近年では、多様化する消費者ニーズに対応した地域密着型や時間消費型等の特徴的なSCが開業されています。これは、時代の変化を機敏に捉えながら細やかな情報の発信や、業界の人材育成にも取り組まれ、会員企業の経営課題の克服に向けた支援活動やまちづくり等にもご尽力されてきた貴協会の功績であり、改めて敬意を表する次第です。

新型コロナウイルス感染症の拡大は、わが国の経済社会に大きな影響を与え、緊急事態宣言に伴う外出自粛、インバウンドの消失、大規模商業施設等に対する休業要請等により、商業施設やそのテナントを窮地に陥れました。そうしたなか、2021年5月に貴協会と日本小売業協会、日本ビルヂング協会連合会および当協会が協働して、内閣官房長官や国土交通大臣をはじめとした関係大臣に対し「大規模商業施設への支援についての要望」を提出し、国民の暮らしを支える商業施設等が窮状にあることを伝えるとともに、経営維持に必要な支援を求めました。歴史的な難局を乗り越えようと邁進する貴協会と軌を一にして要望活動を行えたことは記憶に新しいところです。

わが国経済は、長期化するウクライナ情勢、インフレの進行、海外経済の下振れ懸念等により、先行きは不透明な状態にあります。一方で、コロナ禍から経済活動が正常化し、新たな飛躍に向けてのスタートの時を迎えています。今後は、コロナ禍がもたらした価値観や社会構造の不可逆的な変化を的確に捉えて、コロナ禍後の世界で持続的な成長を果たしていかなければなりません。新型コロナウイルス感染症の拡大は、DXの進展や価値観の多様化等、それまで進んでいた構造的な変化を大きく加速させ、それに伴って、我々を取り巻く環境や求められる役割も大きく変わってきております。SC業界においても、ECが伸長する一方で、ショッピングにおけるリアルの価値が再認識されるなど、大きな変革期に差しかかっているものと存じます。働く人、住む人、まちに訪れる人に便利で快適で潤いのある暮らしを提供していくことが期待されているなか、業界唯一の団体として業界の叡智を結集しながら時代の変化にスピード感をもって対応される貴協会が果たす役割は今後益々大きくなるものと考えています。

当協会も本年創立60周年を迎えました。これまで貴協会とは様々な場面で互いに協力して参りましたが、これからも国民生活の向上や日本経済の成長に向け、貴協会とともに歩む決意を新たにしております。最後になりますが、貴協会のますますのご活躍を祈念いたしまして、お祝いの言葉とさせていただきます。

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